鹿島美術研究 年報第1号
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14.近代異端派画人の思想的研究15.池大雅の「真景図」に関する調査研究16.日本肖像画の問題-15 • 16世紀の女性像をめぐって一概塔,壁画に描かれた九品来迎図相から取捨選択したことが認められた。この研究は文献記録により,往昔の結構を復元できる天台系寺院の堂塔,壁画を収集し,その図相解明を通じ究極には観経変相図における九品来迎図の成立過程,ひいては阿弥陀聖衆来迎図の成立のルートを明確にしたい。(共同研究)研究者:京都国立博物館主任研究官狩野博幸わが国の近世絵画の中で曽我箇白,伊藤若沖,長沢芦雪等は特異な画風を展開し「近世異端派」と総称され近年注目を浴びて来た。従来は画風の比較研究が主であったが,それら異端と呼ぶしかなかった作風が形成された精神的環境,つまり異端派の思想的背景について研究したい。作品の熟覧と調査に併せ未発表の資料を収集し,当時の思想界の実情を調査したい。研究者:新潟大学教養部助教授武田光池大雅の独自性として「新しい空間の発見」と言われているが,それは従来の山水画の空間構成と異った,より新しい空間意識が認められる。これは大雅がしばしば日本の実景を描いた「真景図」を制作したことと深い関係があると考えられる。そしてこれが大雅芸術の本質を規定するものであるという観点に立って研究を進めたい。研究代表者:跡見学園女子大学非常勤講師佐野みどり戦国桃山期の女性肖像画の作例は決して少くないが,従来殆んど考察されていない。この時代は絵画の動向に大きな変革が現れた時代である。実在の女性肖像がほぼこの時期にのみに出現しているのは何故か,よって武将夫人像の主題上の問題及び表現や技法上の問題を解明し,日本絵画の特質の一端を明らかにしたい。(共同研究)概要:概要:-25_

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