鹿島美術研究 年報第1号
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2.造像記・納入品各要項は,年記のあるもののみ掲げ,造像記要項には銘記の位置3.一具ではないが関連あるとみられ,調査を行った作品を附として掲げた。本6件,合計49件について詳細な調査を行って,その基礎的なデータ及び写真資料を4.備考として※を付し,銘記及び像の製作に疑問がある場合,また文献により像の研究報研究代表者及び共同研究者全員による栃木,石川・滋賀,京都・奈良,兵庫,九州への5回にわたる調査旅行を実施し,鎌倉時代の造像銘記を有する作品の内,栃木3件,石川1件,滋賀20件,京都4件,兵庫7件,奈良3件,福岡3件,佐賀2件,熊えた。その写真資料は整理して東京芸術大学水野研究室に保管の丸尾造像銘記文庫に収め,不足分についてかなりの補填をなすことができた。調査データの整理研究はなお進めつつある。今後の調査を含めての,鎌倉時代造像銘記の集成刊行にはなお年月を要するが,今回調査したもののうち,前のも個々に学術誌に紹介してゆきたいと考えている。今回の調査においては,従来知られていた銘記のうち明らかに偽銘と鑑せられるもの(熊本正念寺阿弥陀如来像),年記の部分が後世の書直し音寺行縁像)があることが判明したほか,従来知られていた銘記の読みに補訂を行い,あるいは詳細を明かにした(兵庫宝満寺大日如来像その他)。また調査作品のすべてについて,従来よりも正確にして詳細な,構造・技法等に関するデータをうることができた。調査作品の目録並びに要項を次表として添える鎌倉時代造像銘記の調査研究調査作品目録凡例:1.本目録は,本研究で調査した作品を所在府県別,所蔵者別にまとめて表示し,各像の形状・品質・員数・像高・造像記・納入品各要項を掲げた。と年記を,納入品要項には品名とその年記を示した。仏師の判明する場合はその名を記した。なお無年記の場合はその旨を記した。造立年代が推定される場合,その旨を記した。と思われるものについては,それ以じがたいもの(栃木観_39

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