18歳〜69歳の男女。調査数は,1,500人。対象者抽出は札幌市内100地点(区別平均考のであり,人々の現在と未来に有意義に功しなければならないのである。北海道立近代美術館では,開館7年目をむかえてこの問題と本格的に取りくみ,館館利用に関する住民の意識調査をはじめることとなった。この基礎調査が鹿島美術財団のご理解のもとにはじめられたことに感謝の意を表するものである。今回の「美術館をとりまく杜会の基礎研究」は,当初から長期の計画をもって行う予定であった。欧米における美術館利用者の実態は既にある程度の情報を入手ずみであったが,日本の場合の教育,文化,その歴史,あるいは国民性等における特殊性を考慮し,新たな実態調査を国内数ヶ所において行っていきたいと考えている。そして,この基礎研究の最終目的は,言うまでもなく,現代における美術館の社会的存在意義を高め,それの利用をより広くより深くすることにあるといえる。以下に第1回の調査による方法と分析結果等を簡略化して報告したい。調査地域は札幌市内(道立近代美術館所在地)。調査対象者は札幌市内に居住する満慮)における住民基本台帳をフレームとした無作為抽出とした。調査方法は郵送による方法をとり,なお電話及直接訪問によって回収率を確保した。昭和58年10月〜11月の約1ヶ月間において752通,約50%の回収結果であった。調査用紙の作成にあたっては,性別,年齢,職業その他の基本項目は別として,たる質問内容は,道立近代美術館の利用度の実態,美術館に対する一般的イメージに関するもので,とりわけ美術館利用者と非利用者に関わる背後の意識及環境等の調査に主眼をおいた。「美術館を利用しない理由」を,予想ではなく実態で把握することは極めて困難な作業でありそれだけにかねての念願でもあった。分析結果の一部を紹介すると,まず道立近代美術館の認知度については,87.5%の人が知っており,その内85%の人が場所をも認知している。しかしながら彼等認知者の当館利用経験者は52%にとどまっている。つまり全体の半数以下ということになる。さらに過去6回以上利用した者はその内の1割に満たない。従って,いわゆる美術愛好家といわれる層は,全体の4%を越えることはないということになる。当館は過去7年間においてほぼ200万人の入場者をむかえているが,札幌市及びその近郊の人口に比してみれば,この数字は相応したものといえる。ところで美術館非利用者の数は全体の48%にも上り,1回のみ利用者は15.5%となっている。非利用の理由をみると,全体の中で最も多いのが「きっかけがなかったか-55
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