鹿島美術研究 年報第1号
80/110

II.プディカ型アフロディテ:所謂「恥しい素振りをする女神」像で,<カピトリーVI.<リボンを結ぶアフロディテ>: <首飾りを外すアフロディテ>などのヴァリエXI.その他,以上の類型に相当しない裸体女性像。IV.くうづくまるアフロディテ>:多くのバリエーションがある。V.<サンダルを脱ぐアフロディテVII.<武装するアフロディIX.くアフロディテ・カリピュゴス>:所謂「お尻の美しい女神」像で,ナポリ美術X.オリエント風の冠を着けたアフロディテ:ブロンズの小像例が多くある。0整理1)本研究にとっては,帰国後,蒐集し得た資料及び文献の整理を行った。写真は現像・焼増しをし,カードに貼付してカタログを作製した。また複写した貴重な文献は製本した。調査研究成果これまでに蒐集し整理し得た資料を基にして,ギリシア・ヘレニズム期のアフロディテ像を次のように分類することが可能とされた。I.くクニドスのアフロディテ>とそのヴァリエーション。ノのアフロディテ>,<メヂチのアフロディテ>などがこの型に属する。III.ディデュメ型アフロディテ:所謂「海からあがる女神」像で,両手で濡れた髪を絞る身振りをする。全裸と半裸の像があり,<キュレネのアフロディテ>は前者の代表的な例といえよう。ーションを含む。ンがある。VIII.<サンダルを振りあげるアフロディテ>:牧羊神(パン)との群像(デロス出土)だけでなく単独像もある。館の作品は代表的な遺例である。今後の調査研究課題資料の蒐集充実に努める。特にくサンダルを脱ぐアフロディテ>,<リボンを結ぶアフロディテ>など,これまでにほとんど調査研究されていない類型については,より広範な資料の蒐集が必要とされる。2)上にあげた個々の類型は少なくともひとつの原作に基づいてつくられたはずであ:裸身に剣帯等を吊す女神像で多くのヴァリエーショした資料の存在が必須条件とされる。従って今後もまず-62-

元のページ  ../index.html#80

このブックを見る