48名の調査協力者とともに同県各地に4回にわたる調査旅行を行い,22件33鉢の実査正11年(1514)仙算が源四郎を助作者として造立したものとされていたが,現在の頭場所新宿•朝日生命ホール2.員数は枢数,像高単位はセンチメートルである。4.備考欄にはその他参考となる事項を加えた。3.年記・作者はすべて胎内銘記によるもので,それ以外の記録は備考欄に附した。いて調査研究を実施した。宿院仏師の作品はほとんどが奈良県下に所在しており,延及び3件11鉢の予備調査を終えた。しかし,精査を要するものを含めなお10件余を残しており,引続いて調査を継続する予定である。実査は各像の法量・形状・品質構造・造像銘記・納入品・損傷状態等について詳細正確な記録を期して,これらのデータ及び写真資料を得た。撮影については今後度々は調査の機会に恵まれ得ないと考えられる作品もあり,一部専門写真家を依頼した。これらの調査を通じて宿院仏師の既知の作品に新資料5件,納入文書1件(西大寺・奥院地蔵菩薩立像追加分)を加えたほか,従来読まれていた各銘文のほぼ全てに補訂を行うことができた。新知見に属する1■ 2例を挙げれば,西大寺地蔵菩薩立像は永部は天文16年(1547)の源次の作であることが分かり,この源四郎は源次の子を名乗る同名人とは別であり,むしろ源次の兄弟子格にあって宿院工房の実質的な創設者であったとみられる。また,仏所成立以前の宿院番匠は興福寺大乗院系の奈良座の一つであり,新出の法貴寺千万院像を含め宿院仏師の造像遺例には興福寺関係が極めて多いなどの事実は,同仏所の消長を考察するうえで手懸りとなるものといえよう。成果の詳細に及ぶ報告は作品の調査の完了と諸資料の整理検討を経て刊行する計画である。なお,本調査に基づく成果をふまえて下記の講演を行った。年月日昭和60年1月26日題目奈良の宿院仏師催奈良県・奈良県観光連盟本年度の調査作品目録を別表として添える。凡例1.本目録は昭和59年度に実査した宿院仏師の作品を所蔵者別にまとめて表示した。-98-
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