鹿島美術研究 年報第2号
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同同① 墳墓番号54号HUY(フィ)② 1984年8月1日付けで調査の許可がおりたので,同月2日より,ケナ州ルクソーを3人集め調査を開始した。① ラモーゼ(墳墓番号55)前1375年頃治世したイクナテン王の総理大臣。南面に描かれている葬送の図,② レクミラ(墳墓番号100)前1500年頃治世していたトトメス3世の建設大臣。T字型をした18王朝(前156790号Neb AMUN(ネブアメン)139号Pairi(パイリ)-157-チーフ分類と出土地別に分けた後,分布図を作成し,製作時期別に2つ(I期,II期)に分類した。③アメンヘテプ3世時代のテーベの貴族高官の墳墓群の中から現在でも残っている墓をリスト・アップし,今回調査可能な墓を選ぶための文献研究を開始した。(1984年4月〜6月)④1984年7月15日に以上の結果を持ってエジプトに行き調査研究の許可をエジプト文化省考古庁へ申請した。調査申請した墓は以下の通り。③ ル市クルナ村にて調査開始。調査期間は1か月間とし,クルナ村の住人の中から助(2) 調査内容日本でリストアップした約30墓の候補の中から選ばれた墳墓のうち上記の3基墳墓調査を開始する。調査地はエジプト・アラブ共和国ケナ州ルクソール市クルナ村,シェイク・アブドル・クルナであり,調査基地は同村に1978年建設したワセダ・ハウスである。調査法は墳墓の略測量をし,墳墓内を写真撮影し,VTRによって撮影後,重要なモチーフのスケッチ及び図取りを行った後観察を行うこととした。その間,常時開けられており特別の許可を受けなくても良い墳墓で,時代的にも離れている墳墓の観察を行うことにより比較研究を行った。比較研究を行った墳墓は以下の通り。特にその中の泣き女の図は有名。その他東壁の宴会の図の精巧な浅浮彫りと,西壁のアテン神と礼拝する人々の中の他民族をあらわした浅浮彫りは優れている。年頃〜1320年頃)特有の墳墓型式をしており,前室(ホール)にはアフリカ大陸の異民族や,動物たち,北方民族や動物たちが描かれ,奥室は異常に天井が高く,左右両面に,当時の職業や家内工業の種々のパターンが描かれている。

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