鹿島美術研究 年報第2号
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③ センネフェル(墳墓番号96)前1480年頃エジプトを治めたアメンヘテプ2世の軍人。奥室の天井のデコボコ④ ナクト(墳墓番号52)前1450年頃治世のトトメス4世時代の書記。農耕の図,宴会の図,狩猟の図,⑤ メンナ(墳墓番号69)前1450年頃のトトメス4世の徴税官をしていた人物。T字型墳墓の代表例で,(I) 54号墓被葬者はフィ(HUY~前)。トトメス4世からアメンヘテプ3世の治世にかを利用しぶどう棚風に描かれたぶどうの図が有名。ぶどう酒作りの図など有名なものが多いが,特に女三薬師と盲目のハープ弾きは世界的に知られている。前室(ホール)には農地を検定しに行く被葬者の図,奥室にはアビドス巡礼の図や狩猟図が有名である。特に漁獲図はエジプトーである。この他にもケルエフ(192号墓),パバサ(279号墓)センネジェム(1号墓)イピィ(217号墓)など多数の有名な墳墓が点在している。さていよいよ今回のメインテーマである未公開の墳墓についての調査結果を以下にレポートする。けてのコンス神殿の倉庫の管理責任者である。その妻は,タエンヘルエンシといい,アメン神殿の女官長をしていた由緒正しい家柄の夫婦の墓である。18王朝の墳墓型式としては異例で,前室(ホール)と奥室の大きさが逆である。しかし,前室は破壊され何も残こっておらず,奥室に残されているのは以下の通り。段の図は,アビドスヘの巡礼をするフィ。(3) テキストのある碑文。神官によって,聖水で浄められている被葬者フィとその妻そして神官によって供されたオニオンの供物。下段にはコンス神とその妻に種々の供物をささげる女性の会葬者。(5) 被葬者が,アメンヘテプ1世とその妻アハモシに供物をささげている図。(1) 被葬者フィとその妻がラー神を賛美している図(2) 男の会葬者,アヌビス神と共にいる女性の会葬者,9人の友達の図。最下(4) 被葬者フィとその妻のミイラを作る過程を神官に示している図。-158-

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