鹿島美術研究 年報第2号
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(オ)美術に関する国際交流援助(昭和58年度)1.アジアキリスト教美術の研究ーポントン・フランシスコ(フィリッピン)による壁画ほか作品の調査出版一研究者:同志社大学神学部教授竹中正夫共同研究者:Independentartist 調査研究の目的:た壁画を残しその他の作品もいづれもフィリッピンの歴史にのこるすぐれた作品として多くの人びとに評価されながら現在まで作品集や伝記が出ないままであった。今回フィリッピン側の要請をうけて伝記の執筆とともに主要作品の調査撮影を行い詳細なリストをつくり作品集として出版をなす計画をたて,フィリッピンのAYALA美術館の協力のもとにこのprojectは進められた。1985年5月3日にマニラで出版記念会が行われた。1.概要フィリッピンのNationalArtistとしてC.V.フランシスコの名は広く知られているが,彼が比較的早く世を去ったこともあって,その伝記も作品集も刊行されないままにあった。今回,フィリッピンの作家たちや美術研究者たちの要請をうけて,彼の生涯を綴り主要な作品を一冊の書物として刊行する計画をたてた。幸いフィリッピンの美術史に造詣の深いAyalaMuseumの館長Fr.Gabriel Casal 氏が研究協力者となり,同美術館のスタッフが基礎的資料の調査にあたり,従来からフランシスコの伝記に関心を持っていたVirginiaTy-Navarro女史が,伝記についての素描を行い,それをフィリッピン大学で美術評論を講じているPaulZafaralla 氏がさらに書き改めるという手筈をふんだ。最も苦心をしたのは,フランシスコの作品の所在を確認し,出来るだけ完全な作品目録をつくることであった。今回出版された書物,CarlosV. Francisco, The Man and Genius of Philippine Artの巻末には作品リストがあるが,そこには138点の作品が年代順に,タイトル,種類,大き報Director Ayala museum Fr. gabriel Casal Carlos V. Fransisco (1913-1969)はフィリッピンの近代の芸術史においてすぐれ2.経過-187-Virginia Jy. navarro

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