鹿島美術研究 年報第2号
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はA4版,110頁,71点のカラー写真入り,オフセット印刷による上製本で1,300部Artistが本書を通して長く記念されたことを祝した。3.内容さ,現在の所蔵者または所在地を付して記録されている。このリストの作成は予想外の難事で,このためには,AyalaMuseumスタッフであるCrispinaM. Reyesの貢献のあったことを記しておきたい。主要作品の所在,保存状況を明確にする作業と並行して,写真の撮影を行ったが,中には,保存状況が悪いものや,建物の移転によって,撮影が困難なものなどがあり,当初の計画を変更しなければならないこともしばしばであった。また壁画の作品が多いため,光線の関係や作品の大きさなどにより,写真の撮影も困難な仕事の一つであった。しかし,関係者の協力によって,ほぼ材料の集収を終え,出版編集の作業に入ったのが,1984年9月であった。編集に当っては,AyalaMuseumの研究員であるSoniaPinto-Ner女史が細部にわたって配慮をなし,均衡と調和のとれた編集を行った。この間,1984年度には2回1985年にも2回合同の検討会議をもち行程の確認をなし,印刷を日本写真印刷株式会社に托した。今回は調査・出版の作業がフィリッピンと日本にまたがって行われた国際的プロジェクトであったが,フィリッピン側も当方で定めたスケジュールに則して作業をなし,当方もフィリッピン側からの要請を細部にわたってうけいれ,与えられた時間と経費の中で最善を尽し,協力し合った。こうした双方の協力によって書物は,1985年5月3日に出版された。当日マニラの氏をはじめ,駐比日本大使も出席して盛大に行われ,フィリッピンの優れたNational出版された書物,CarlosV. Francisco, The Man and Genius of Philippine Art 印刷された。彼の伝記の部門(6頁〜25頁)がはじめに記載され,つづいて彼の作品がテーマごとに配列され,巻末に略年譜,作品目録,参考文献,表が載せられている。印刷にあたった日本写真印刷株式会社の関係者は,本書の刊行が国際的交流に寄与するものであることに共感して,多大の尽力をなし,本書を質的にも整ったものにした。その努力にはフィリッピン側も深甚な謝意を表している。おわりに,本プロジェクトの調査並びに本書の刊行に援助をされた鹿島美術財団に対してフィリッピンの関係者を代表してAyalaMeseumのGabrielCasal館長から深い感謝の意が表されていることを記し報告としたい。Ayala Museumで催された出版記念会には,フィリッピンの文化大臣JaimeLaya -188

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