前川常務理事あいさつこのたび国立西洋美術館のお招きで日本に来られたフランスの国立ロダン美術館館長のモニック・ローラン先生がお見えになっております。ローラン先生については後程,国立西洋美術館の前川館長からくわしくご紹介いただきますが,私達に非常に親しみ深いロダンの作品について,またロダン,その人となりについてロダン美術館館長からお話しを伺うことになりましたことは,時まさに美術の秋でございますので非常に幸せと思っております。この催しにつきましてローラン先生,大変お忙しい中わざわざ時間をさいて頂き,本当に感謝にたえません,厚くお礼申しあげます。それから,この催しにつきまして終始格別なご指導とご協力を頂きました国立西洋美術館の前川館長はじめ美術館の方々に厚くお礼申しあげます。ローラン館長紹介国立西洋美術館館長前川誠郎このたび国立西洋美術館がロダン美術館長のモニック・ローラン女史をお招きすることが出来ましたのは,鹿島美術財団のご配慮によるところでございまして,本当に有難いと思っております。ローラン先生に関し,ごく簡単にご紹介いたします。ローランさんは1930年のお生れで,現職のロダン美術館長には今から11年前にご就任になられた大変にお若くて要職にお就きになった方です。それまではフランスの文化庁長官の助手であるとか,或はルーヴル美術館に附属した美術学院の事務局長をなさっておられました。現在もロダン美術館館長をなさる傍ら,ルーヴル美術学院で教鞭をおとりになっている彫刻史の教授の仕事をしておられる方です。これから私達がお伺いするお話しの演題は「ロダンと極東」となっておりますが,そういう題をお選びになりましたのは,私なりに推察いたしますと,或いはもう皆様良くご存知かと存じますが,晩年のロダンには《花子》という日本人を主題にした作品があり,その作品は西洋美術館にもあるという訳であります。国立西洋美術館がこのたびローラン女史をお招きしようと思いたちましたのは,西洋美術館は現在たしか55点のロダンの作品を持っております。先程,ローラン先生にお伺いしますと,パリーのロダン美術館には展示してある作品だけで400点はあるということから,ただ機械的に計算いたしますと西洋美術館はロダン作品の約1/8を所有していることになり-ll_
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