鹿島美術研究 年報第2号
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か1912年(大正元年)で,その頃既に日本では皆様ご存知の白樺派の文芸運動を通じてロます。現在持っている55点のうちの53点,つまり殆んどすべては,西洋美術館の場合松方幸次郎氏がフランスで集められたものです。ロダンは1917年に亡くなるわけですが,私はこの松方幸次郎さんがロダンと個人的にお知合いであったかどうかそれはつまびらかではありませんが,実は日本でロダンの美術の紹介或は展覧会というものをなされたのはたしダンが日本に紹介され,日本人に深い感銘を与えました。松方さんのロダン収集というのも単に松方さんお一人でなくて,明治の末から大正にかけて日本人のロダン作品に対する共鳴といったものが底流としてあったと思われます。そして色々な経緯がありましたが,今日,国立西洋美術館には最も大きな大作である〈地獄の門》をはじめ,《カレーの市民》であるとか,或は〈考える人》とかそういったものを含めて先程いった55点の作品を持っています。西洋美術館は今年創立25周年でございますが,これを期に特に今まで余り調査の進んでおりませんでした美術館所蔵のロダン作品の本格的な調査をいたしたいと念願し,最も適任と思われるローラン女史をお招きした訳であります。-12

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