実健鈴7.中国における紀遊図の展開8.仏師快慶の研究9.日本肖像画の問題ー15• 16世紀の女性像をめぐって一(継続)研究者:京都国立博物館学芸課研究員(技官)概要紀遊図とは画家自らが旅行した先の風景を描きとどめた画である。明中期に盛期を迎えて,その伝統は清に移って継承されている。本研究は国内外に所蔵されている明・清を中心とする紀遊図の閲覧実査,写真収集,対象とされた地域特に中国江南地方の実地踏査及び地誌,紀遊録,版本地図類を収集し,明・清絵画の持つ意味あいをより鮮明にしたい。研究者:文化庁文化財保護部美術工芸課文化財調査官松島概要仏師快慶の出自あるいは後代の造仏界に多大の影粋を及ぼした繊細,流麗な安阿弥様形成の基本的要因,換言すれば快慶芸術の母胎についてはなお解明すべき多くの問題が残されている。さらに近年快慶の在銘作品や無銘なから彼の安阿弥様にきわめて近い作風の三尺弥陀像がつぎつぎ発見されており,これらの新資料に加え従来銘文や納入品の存在によっで快慶作とされているすべての遺作を綿密に調査検討を加え快慶真作を厳密に選別し快慶の五十余年に及ぶ作家活動の上に正しく位置づけようとするものである。研究代表者:群馬県立女子大学文学部講師佐野みどり共同研究者:星野概要昭和59年に引続きの研究で昭和59年は遺品の発堀と所在確認,関連論考の検討など行ったが,女性肖像画が15• 16世紀の一時的に出現していることは興味深く50有余点を確認した。しかしこれまで体系的な研究がなされていない。確かに文化的見地からの武将夫人像の歴史的考察や服飾研究の一環として女性風俗研究などに論考も呈示されているが,美術史的な意味での女性肖像画の位置づけや個々の作品の実証的な分析が欠落していると言わざるを得ない。この研究における最終的な成果は15• 16世紀の西上-34-
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