21. 17世紀オランダ風俗画における医師と音楽家-19世紀末から20世紀初頭における1画商の活動の軌跡一必要欠くべからざるものであるが,これまではそれがなく,海外の研究者は大変不便な思いをして来た。この辞典が海外の日本美術研究者や日本伝統美術に関心をもつ外国人にとって福音になることを期待している。同時にこうした日本美術研究について海外で研究発表,講議する場合にも有用なものとなろう。(国際共同研究)研究者:東京経済大学専任講師高橋達史風俗画は,古来歴史殊に文化史,社会史研究における恰好な視覚的資料として活用されて来た。この分野における最初のまとまった成果と目されるのは,17世紀オランダ風俗画を対象に当時の絵画の頻繁に登場する医師(床屋=外科医を含む)と音楽家について,画中における彼等の相貌,外見,所作行動,及び彼等をとりまく環境を分析しつつ,芸術的表現との関連を探り,同時代文学における医師と音楽家のイメージと比較しつつ,社会における彼等の位置やその記号論的な意味を明らかにすることである。22.林忠正宛書簡の研究(継続)研究代表者:東京国立文化財研究所,第2研究室長三輪英夫共同研究者:米倉迪夫・馬渕明子・鈴木広之東京国立文化財研究所が保管している,画商林忠正(1953-1906)のパリにおける種々な書簡650通について昭和59年度の助成によって書簡の読み下しとタイプ打ちまた書かれた内容に従って註釈を付し,関連資料の調査等研究を進行中である。しかし当時の人物,固有名詞等については詳細な現地調査も必要であり解明すべきことが多い。また,これら書簡によって,当時の人々の日本美術に対する関心のあり方が解明されることは,美術史の上で貴重なことと思う。(共同研究)概要概要橋明也-39-
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