鹿島美術研究 年報第2号
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26.オランダ19• 20世紀における絵画,彫刻,工芸建築の研究(継続)研究者:大阪大学大学院博士課程概要19世紀中葉から1930年頃のオランダは,王室の芸術擁護が終り市民そして国家による擁護へと急速に移行する時期にあたる。絵画の領域においても「共同体芸術」が唱えられ,作品を通じて社会的意識を鮮明に表わしており,建築都市計画の分野においては「総合芸術」が唱えられ,画家,彫刻家と共働しオランダ近代建築のもとを築いた。このような絵画,建築における「共同体芸術」「共働」の伝統は,その後もうけつがれたが,1931年には衰退してしまった。この領域に関する包括的研究は未だなく,美術史,建築史,文化史からのアプローチによって芸術=社会の問題に新しい視野を提供したい。27.説話芸術の時間論的構造の研究研究代表者:神戸大学文学部助教授百橋明穂共同研究者:千野香織・塩出概要18世紀末以来西洋においては視覚芸術を空間芸術と規定し,音楽,文学等の時間芸術と峻別して考察することが常であった。しかし実際の芸術作品にこのような二分法は適合しない。とくに内容,形式,両面において文字で書かれた文学と密接な関係をもつ説話芸術は視覚芸術の中でも時間と深い関りをもっている。本研究は,もっぱら洋の東西の説話芸術研究について,特にわが国のいくつかの絵巻の作例について,集中的に時間的構造の考察を行うものである。(共同研究)図府寺・辻成史司-41

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