鹿島美術研究 年報第2号
58/220

2.源氏絵作品の収集調査の継続と総合的整理研究3.東洋古版画の調査研究概1.壁画保存修復技術の研究研究者:卸絵画保存研究所絵画修復部主任小林嘉樹最近わが国でも古墳壁画や障壁画の保存,修復が緊急問題となっているが対応できる専門家が少く,美術館の設立にともない,専門家の養成が急務になって来た。ユネスコの機関であるICCROMが主催する修復トレーニングコースは,5年以上の経験の保存修復家を対象に行われるものであるが,これに参加しフレスコ絵画の保存修復について研究し,ヨーロッパ各地の修復研究室にも出向し,国際的な保存修復の規範と運用法を学び,将来のわが国における美術品保存修復に役立ちたい。研究者:東京芸術大学美術学部助教授田口栄一源氏物語の源氏絵諸作例を,時代流派の別なく網羅的に集成し,各時代各様の画面形式,物語中から選択された場面の分類整理。そして選ばれた図様の解釈や美術史的な分析を通して,源氏絵の伝統と創造の歴史を解明しようとするものである。研究者:九州大学文学部助教授菊竹淳一東洋古版画の研究は未開拓の分野であり,現在は中国で発見された作品が最古とされている。また唐代の文献が資料として知られているのみである。本研究は,中国の西域地方で発見された古版画の作例及びその後の展開を示す宋時代や,朝鮮高麗時代の作品を調査することにより,東洋における版画の発生とその拡がりを研究し,版画の美術的価値と印刷文化としての意義を明らかにしたい。概要概要国際交流援助研究課題の概要-42-

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る