鹿島美術研究 年報第2号
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(6) 15世紀のフイレンツェの美術工房の研究1)本研究は,私の長期的な研究講想である「イタリア・ルネサンスにおける芸術生2)工房(bottega)の研究は,当然,ルネサンスの都市文化を担った主要都市ごとに3)具体的には,Ghiberti,Donatello, Pollaiuolo, Verrocchio等の15世紀の主要工A.同時代資料1) Odrigo di Andrea di Credi (orafo fiorentino), Memorie 1405-1425 (ed Polidori),in ≪Archivio storico italiano>, ser. I, vol IV, 3. 2) Bernardo Cennini (orafo fiorentino), Memorie biografiche di Bernardo Cennini (ed. Fantozzi), Firenze 1839. 3) Maso di Bartolomeo,Ricordi (1447-1453) (ed. Yriarte), in ≪Archivio storico 研究者:茨城大学教育学部助教授森田義之調査研究の目的:産構造の研究」の第一段階をなすものであり,従来のルネサンス美術史研究の主流を占めた作家別,作品中心的研究(様式研究,図像研究)に対して新しい社会史的視点に基づく研究として位置づけられる。具体的・実証的になされる必要があるが,言うまでもなく,ルネサンスの中心地フィレンツェの美術工房の研究が最も重要である。したがって当面,都市としてはフィレンツェ,時代としてはコムーネの隆盛期である13■15世紀を中心的に取り上げる。を中心に,その他のマイナーな作家の工房も視野に入れながら,工房内の徒弟システム,分業システム,工房編成,遍歴職人,契約書,制作内容,親方作品と工房作品の関係等の諸問題を,文献的,実証的に研究するための基礎資料を収集する。研究報告:今回の調査研究の主要な目的は長期的な研究構想の第一歩として,フィレンツェの美術工房(特に14■15世紀)に関する基本的文献資料を探査,選択,整理し,具体的に収集することにあった。このため,王としてフィレンツェのKunsthistorischesInstitut とローマのBibliotecaHerzianaにおいて,文献探査と収集を行うことに主要な時間があてられた。以下,内容別に,今回の助成金によって収集しえた文献資料を列挙してみたい。74-

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