鹿島美術研究 年報第3号
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losa-W eld collectionとして正式に登録,寄贈されているのは1911(明治44)年であ年4月の第2回鑑画会には出品者数は不明ながら,約300点の応募の中から百数十点が第2回16作家約(数点というのが1件あるため)26点である。また第2回大会の直後ビゲローの蒐集品を基礎としていることは周知の通りである。彼らが日本でそれらの作品を蒐集したのは明治10年代であるが,ボストン美術館にBigelowcollection, Feno!-る。それが総てかどうか定かでないが,登録の番号は,Fenollosa-Weld collectionはほぼ11,5000番代〜より若い数字となっており,Bigelowcollectionはほぼ11,6000番代より多い数字となっているようである。明治18年9月の第1回鑑画会大会には数10名の画家による70余点が出品され,翌19陳列されている。そのうち,画家名と作品名とが判明しているのは第1回24作家43点,同年6月に開かれた例会での出品50数点のうち,出品画家9名,作品5点も文献的に判明する。各会同じ画家も含まれているから,それらをまとめると33名約74点となる。よく名の知られた画家としては狩野芳崖,橋本雅邦,木村立嶽,渡辺省亭,未だ若輩の下村観山などがあり,その他小林永濯,フェノロサと芳崖を引き合わせた狩野友信,狩野勝川院雅信門で芳崖や雅邦らと同門だった狩野勝玉,結城正明などがこれに含まれる。この33名の画家のうち,鑑画会出品作かどうかはともかく今回ボストン美術館に何らかの作品が所蔵されていることが分かったのは次の16名である。狩野芳崖,橋本雅邦,木村立嶽,渡辺省亭,下村観山,小林永濯,狩野友信,岡倉秋水,端館紫川,高橋(金子)玉淵,安藤廣近,三島蕉窓,狩野勝玉,岡梅浚,本多天城,鈴木華邦芳崖,雅邦,立嶽の作品はこのほかフィラデルフィア美術館,フリア美術館にも何点か所蔵され,メトロポリタン美術館でも雅邦,渡辺省亭の作品を確認することができた。様々な制約からその全部を実見することはできなかったが,幾つかの興味深い問題が明らかとなった。先ず,幾点か鑑画会活動にかなり密接な関係を持つと思われる作品がこれらに含まれていることである。ビゲローコレクション,フェノロサ・ウェルドコレクションは,鑑画会にも深く関与した彼らのコレクションである上,フェノロサ自身,不遇の生活を送っていた芳崖をはじめとする画家達の絵を,救済と援助の意味を込め,よく買い上げたことが知られる。また,Fenollosa-WeldCollectionは,フェノロサが自らのコレクションをボストン美術館にいずれ寄贈することを条件にDr.Weldに売却したた-106-

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