ドロテイなどが,各々冬の巡礼達や秋の果物の収穫図に,ポーズや細部を変化させながら,使われている。色,84X268cm(各)唯一の源泉とは言い難いが,奏楽図のある片隻のモチーフ(リュートをひく男女,周囲の人物,馬に乗った狩りの一行,犬,遠くのアーチ状の出入口等)が全て出揃った版画が次のもの。④<十ニヶ月図集>からく五月>A・コラールト彫版,フィリップ・ガ)叶IJ20.6X <洋人奏楽図屏風>(MOA本,永青文庫本)の葡萄絞り図,また蒔絵寵入りの油彩<聖家族像>(東京,個人蔵)は,以前から私達にはウィリックスの版画力タログで原図の見当はついていたが,このたび実見してそれを確認できた。以上の概要の通り,集中した閲覧調査のおかげで,短期間にしては望外の成果を収める事ができたと思う。このデータをもとにして初期洋風画のさらに奥深い様式的,図像学的な研究を進めていきたい。しかし未見の版画もまだ多く,今後ともこうした調査を重ねる必要がある。またこれから新出する洋風画の遺品にも対応して,本物は無理としても,当時の版画の複製写真やカタログ等文献だけは,完備したフォトテーク的な機関の設立が今日要請されている。(8) 北宋末,南宋初期山水画の調査研究一故宮博物院の調査を中心に一研究者・京都大学大学院博士課程河野道調査研究の目的:宋代の山水画についてはこれまで種々の研究・論考がなされてきたが,北宋と南宋の間にある様式上の大きな隔たりという問題は,絵画史の中心課題であるにもかかわらずいまだに不明な点が多く残されている。その原因はとしては,現存遺品が少なく,この時代の著明な画家の作品ですらその実態が十分把握されていない,という事情によるところが大きい。本研究は,こうした北宋末南宋初の様々な画壇の状況を解明するための基礎調査と資料の集積が目的である。今回は台北故宮博物院の蔵品を中心に検証を進め,特に南宋初期の巨匠李唐と,彼に関連する画家たちに焦点を絞って,多-112-以上26.4cm D.その他c.<狩りのある西洋風俗図屏風>……大阪,南蛮文化館所蔵,六曲一双,紙本着
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