3.法語。参禅者に対し示す形式のものであり,数は少いが『鉄牛祠師語録』に松雲5.佛祖讃・諸祖讃・題讃・賛。これは諸佛菩薩・禅宗列祖像ほか所謂道釈画,頂相・6.自賛。自己の肖像に対する賛である。所謂黄槃画像に対する賛であるが,隠元以7.行実。弟子の要望によって述べた自歴であるが,また没後弟子の編録になる行状2.入室・機縁。これは問答機縁とされる場合もあり,数は少ないが隠元録の「答板4.源流頌。曹深源流頌ともされ,第一世南嶽譲禅師以下の黄槃列祖の1易頌で,隠元部分であるが,文人的な黄槃僧には詩偶以下が非常に多く,また詩文集の形で編集されたものもある。例えば『黄槃隠元和尚雲涛二集』八巻は五言古・五言八句のように詩型別に編集されており,高泉の『洗雲集』二十二巻は全く詩文集である。また文人僧大潮元皓の『魯寮詩個』は,七言絶句のみを一冊とされており,また『西漢餘稿』文部三巻,詩部二巻といったものも著われる。これら語録を形成する各部門の中には,勿論美術史文献とはなり得ないものもあるが,すべてが史料となるものもある。以下これら部門のうち史料として取りあげたものは,ほぼ次の如くである。1.上堂。例えば隠元録に「師誕監寺逸然請上堂」とか,『広寿即非和尚新録』に「崇福寺化林上座同徒孫海天祝本師和尚寿請上堂」などが見られる。これらは年記も確におさえられ,特に画僧として重要な人物についての伝記的史料という点から取り上げた。また「小参」の場合も同じ性格をもつ。倉防州太守」に「興福寺主逸然差僧古石云々」があり,1と同じ意味をもつものとして取りあげた。が江戸の天恩山羅漢寺に五百羅漢像を造顕したときの,「五百應員堂成開三千佛会供養」と題する長文の法語がある。が第三十六世となる。この中には像賛とされたものもあり,適宜収録した。居士像,天照大神・北野天神,四君子・花鳥・山水図の鑑賞画に到る賛でありすべてを収録し,最も数の多いものである。この中には自画賛も含み,また「逸然禅徳写十八応真井列祖像寄鎮松堂云々」と作者,寄進先を示すもの,「探幽冨士」とあるもの,「維摩酒井雅楽頭求」のように着賛の依頼者を示すものもある。下その数は非常に多く,なお法子法孫による着賛もあり膨大なものとなる。が語録の巻末に付される場合もある。また別冊とされる場合も多い。なお隠元・木庵・高泉・鐵牛・潮音・了翁には詳細な編年体の年譜がある。百拙元養の場合すで-118-
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