(13) 日本美術史,建築用語の和英辞典編纂(中間報告)された自然」表現で,これもローマ異教美術,特に葬礼美術特有のものである。初期キリスト教美術の自然描写に求められる地誌的機能は,あくまでも葬礼美術としての枠内にあるといえる。従って,少くとも4■ 6世紀のアプシス図の自然描写もこの伝統のうちにあるとみなして良い。それは「楽園」の表現であり,こうした象徴的機能の到達点は,教会(エクレシア)たる「地上の楽園」にある。これが今のところ,我々のひとつの結論となる。我々の初期キリスト教美術アプシス・プログラム論の今後の課題は,異教徒であれ,キリスト教徒であれ古代末期の人々が葬礼美術の自然描写に理想化したものが,もっと具体的に何であったのかを検討することにある。そこには恐らく,ウェルギリウスの描く田園生活のキリスト教的解釈といった情況が,キリスト教美術の側にはあるに違いない。それは多分,古代末期の教養人が「オティウム」に求めた理想的文化生活,真の教養の世界に由来するものかもしれない。初期キリスト教美術の世界にその反映をみることは十分に可能であり,アプシス・プログラムの風景描写も最終的には,そこに結びつくと思われる。研究代表者:千葉大学工学部建築科研究生ペーレント,メリー・ネーバー調査研究の目的:日本の伝統美術史,伝統建築史上で用いられている用語約1万項目を収録し,日本語の項目を英文で解説する,日本で初めての「そして世界でも初めての「日本美術史・建築史用語の和英辞典」を編纂する。収録する用語は飛鳥時代から江戸時代に至る日本美術史,建築史上の主要用語で研究上不可分のものとする。分野は絵画,彫刻のほか特に海外の研究者には関心の深い伝統建築も含める。なお,個々の作家,作品名は含めない。また,イラストを多用して海外の研究者の理解に役立てる。項目の配列は漢和辞典にみられる部首別とする予定である。索引にはローマ字でア今西淳子金田マーガレット・ミラーモリ・スーザン・ホルスト<終〉-140
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