鹿島美術研究 年報第3号
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(4) 項目表の作製(5) ガイドラインの作製〇簡単なデータベースによる項目の整理。(次項参照)助成開始後すぐ着手し,1985年12月にほぼ完成した。建築史4,500語美術史3,000語の用語をリストアップし,アルファベット順,漢字番号順,分野別に検索できるようにした。項目表は定期的に改訂が必要で,現在も項目整理中。関連する用語は大きな項目の中にまとめて書くこともある。実際に定義する項目はこれよりもかなり減ると思われる。執筆者の増加にともない,個人差が大きくならないよう,文体の統一を図ることにし,全16ページのガイドラインを作製した。各項目の英文による執筆作業は,この期間中,約3千項目近くになっており,これと並行して行っている編集委員による推敲作業も進み,約千項目が完了している。さらにイラスト製作は,4人のイラストレーターにより行われており,美術史の分野でも,小さな図版でも見易いようになるべく線描に描き直している。今年度の助成では基礎的作業を重点に行ったが,それらが完成したので,次年度からの作業は英文による執筆・推敲が急速に進むと思われる。(14) 17世紀オランダ風俗画における医師と音楽家研究者:東京経済大学専任講師高橋達史調査研究の目的:の活動期と活動地を分類の基準とする地域別・編年的研究がいまだ中心を占め,主題の分類による本格的な総合研究はなされていない。しかしかつては,日常生活のあらゆる局面を忠実にうつし出す「現実の鏡」とみなされていたオランダ風俗画も,その主題は特定の類型に集中しているのであり,これらの諸類型の多角的考察が,今後の研究の発展のためには不可欠であるように思われる。そうした17世紀オランダ風俗画の類型学的研究の一環として,今回は,当時しばしばとりあげられた「医師」や「音17世紀のオランダは風俗画の最初の黄金時代であるが,これに関する研究は,画家-142-

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