討を加えてゆきたいと考えている。研究成果:百橋明穂;『敦燈の法華経変』神戸大学文学部紀要13号,1986年3月塩出貴美子;『吉備大臣入唐絵巻考ー詞書と画面の関係ー』奈良大学文学部文化財学科『文化財学報』4,1986年3月千野香織;『かきつばた一『伊勢物語』第九段の絵画ー』能と狂言第十六号,1986年5月(20) 中世セルビア美術についてー写真資料の収集とそれを使っての画家たちの仕事ぶりの復元一研究者:岡山大学文学部助手鐸木道剛調査研究の目的:ビザンチン美術に関してよく言われることは,そのイコンやフレスコ画は定まった型に従って描かれているもので,当時の画家は自らの個性を表現することができなかった,いや個性を表現しないことが求められ,画家は個性を示さず,類型に従うことによって,逆説的な意味で充全に自己を表現したのであった,という見方である。この見方は,魅力的で反・ロマン主義の主張とともにしばしば持ちだされる。しかしそれは歴史の現実に見合ったものであろうか。ンチンの作品群を前にしての現代人のかってな思い込みでしかないのではないか。先入見をできるだけ排して作品を観察しなければならない。ビザンチンの画家はどのようにして絵を描いていたのか。その時の出掛りが当時ビザンチン世界で使用されていたと思える絵画指南書(ヘルメネイア)である。ヘルメネイアの使用方法を軸に,ビザンチン特に中世セルビアの画家の仕事の方法を復元することが目的である。研究報「聖像画術の定型は法的な力をもち,イコン描きはそれを厳しく守り,神聖な画像を描くための心がまえや生活も厳しい戒律によって規制され,画家は没個性を要求された中で仕事をしなければならなかった。」これは1978年西武美術館でのロシア・イコン展のカタログの解説文でトレチャコフ美術館の学芸員によるものである。にはまっているように見えるビザTsuji, Shigebumi ; Prolegomena To The Study of "Narrative Land-scape" -171_
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