鹿島美術研究 年報第3号
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ー219-10.ペルー7.イースター島8.チリ9.ボリビア巨大な石像,モアイに関する徹底的な比較調査と計測(ラノ・ララク地区),オロンゴ岬におけるタンガタ・マヌ(鳥人)のペトログリフの調査,魚・カメ・鳥などのペトログリフの調査・計測(特にトンガリキ地区)イースター島の民族博物館収蔵品の調査。イースター島知事,セルジオ・ラプ氏(考古学者)との研究上の討論。まずコロンビア歴史博物館におけるイースター島関係の民族,考古資料(特にモアイ・カバカバ像ロンゴ・ロンゴ)の調査,国立自然史博物館所蔵のロンゴ・ロンゴ(謎の文字を刻んだ木板)の調査,情報収集。ティワナコ遺跡における巨石記念物,石像の調査,チチカカ湖における葦船の調査。ラパス市内の歴史,考古学博物館の見学。天野博物館所蔵のアンデス資料,特にチャンカイ文化に関する民族・考古学資料の見学,国立人類・考古学博物館の訪問,海岸部のプレ・インカ遺跡の見学。11.アメリカ合衆国(ハワイ)ビショップ博物館の見学(ハワイ諸島における石製像,ポリネシア物質文化,マオリ族の木彫),オアフ島における岩壁画の調査(ホノルル郊外)。c.海外の研究動向南太平洋における巨石文化の研究は,オセアニアにおける民族移動の問題として,オセアニア民族学・考古学の最も重要な研究テーマであった。この中で,考古学的発掘にもとづく精緻な研究が,ビショップ博物館,オークランド大学,オーストラリア国立大学などを中心として行なわれてきた。一方,多くの謎を秘めたイースター島の文化について,ハイエルダールによる南米起源説が提唱されて以来,多くの議論が積みかさねられてきた。現在では,太平洋ルート説が有力視されているが,南米大陸との文化接触について,完全に否定されているわけではない。ミクロネシア,メラネシア,ポリネシアを通じて,様々な巨石文化が分布しているが,これらについて個々の文化領域内で議論されることが多く,太平洋全体を東南アジア,南米の文化を視野に入れて考察する研究はこれまで皆無といってよい。

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