鹿島美術研究 年報第3号
243/258

水曜日の夕方行われたチャールズ・ホープ博士による盛期ルネサンス•特にヴェネット•H・コンブリッヂ卿に3月26日,5年ぶりにお会いし,今回の短期留学,研究につ3月31日まで開催され話題を呼んだ「レイノルズ展」を記念して18世紀イギリス美術についてのシリーズが火曜日に,そしてイタリアを中心とした,盛期ルネサンスの文化と歴史をテーマにしたシリーズが,水曜日にそれぞれ行われ非常に充実した春学期治」という題の講演を行なったデイヴィド・ヘンソル氏とその翌週にあたる3月5日にピサネルロの素描についての最新の研究成果を講演の形で発表したデイヴィド・エクサージャン氏(オックスフォート大学)は前回のコートールド留学時以来の友人で,今回の再会に際し,これから試みようとする研究についての貴重な助言を受けた。コートールド以外ではウォーバーグ研究所で2月から3月にかけて六回連続で毎週ィア派に関する問題を扱った特別講義も大変参考になった。ホープ博士はヴェネツィア派を専攻する英国の若手研究者の筆頭である。その他,3月10日,ベッドフォード・スクエアにあるアーキテクテュアル・アソシエイションでの公開講座では,現在アメリカで活躍中のレオ・スタインバーグ教授の「ピカソの知性」という講演が行われた。同教授にはルネサンス関係の著作が多いが,後日ブリッティシュ・ミューゼウムで偶々,同教授に会う機会を得,激励された。今回は残念ながら講義に接する事はできなかったが,ウォーバーグ研究所長のエルンスいて申しあげたところ,フラ・ハルトロメオの風景素描についての貴重な助言を戴いた。以上のように,今回のほぼ5年ぶりのコートルード美術研究所を中心とするロンドン留学は,2ヶ月弱という短かい期間ではあったが,多くの方々の激励,助言によって大変充実したものになったと思われる。今後は今回収集した資料を熟読し分析することによってより実りある研究成果を産み出すことを目的に努力していく考えである。以下,今回収集した資料の主なもののみを挙げる。(1月10日_3月20日)となった。特に後者のシリーズで,「ローマの改革的教皇政1) Joanna Cannor, Doainican Patronage of the arts in Central Italy : The Province Romana, c.1220-c.1320 P. H. D thesis Cautauld Institute of art, University of London, 1980 Vol.l (991-532), Vol.2 (Illustrations) 2) John Shearman, Masaccio's Pisa Altar-piece : an Alternative Reconstruction くマイクロフィルム〉223_

元のページ  ../index.html#243

このブックを見る