2.静岡県修禅寺大日如来像・同桑原薬師堂阿3.兵庫県浄土寺阿禰陀三尊像れる粗作についてそれが専門仏師の作か素人作であるかを判別する一つの手がかりとなるであろう。禰陀三尊像いずれも従来運慶願経にのみ名を知られていた運慶一門の仏師実慶の作であることが銘記により明かとなった。関東に滞在して活動した慶派仏師の存在を証するものとして,またその作風と技量を示すものとして大きな意義を有する。修禅寺像は像内に髪を納入するが,承元4年公暁の母辻殿(同年7月8日落飾)の菩提を弔うためその遺髪を納入したものかと想像され,歴史的にも興味深い遺品である。ファイバー・スコープによる銘文調査の中間報告(1210年)8月28日という造像年時から,源頼-40 -報告中の水野敬三郎氏
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