2.大英博物館収蔵「ウイリアム・アンダーソン,コレクション」日本及び中国絵画の本1.ネーデルランド美術における「聖ペテロの否認」の図像学的研究研究者:弘前大学教養部専任講師尾崎彰宏研究目的:Aビグラーの『バロック時代の画題総目録』によると,16世紀,17世紀に制作された「聖ペテロの否認」の約半数にあたる58点はネーデルランドにおいてである。この事実は反宗教改革以降この主題がとくにネーデルランドで流行したことを示している。それにもかかわらず,すでに言及したようにネーデルランド美術における「聖ペテロの否認」のイコノグラフィーに関する十分な研究がなされてこなかった。この主題に関する研究は反宗教改革がネーデルランド美術におよぼした影聘を具体的に検討するうえで重要であり,この分析によってこの時期にネーデルランド美術の特質の一端が明らかになる。つぎの二点を中心に「聖ペテロの否認」に関する図像研究を実証的に行う。流行した。したがってこの主題がカラヴァジョ派に占める意義とレンブラントの二点の同主題油彩画ーブリヂストン美術館及びアムステルダムの国立美術館ーの類似点と相違点を明確にし,両者(カラヴァジョ派とレンブラント)の「聖ペテロの否認」に対する芸術的解釈の特質を探りたい。格的調査研究のための予備的実験的調査研究研究代表者:世田谷美術館館長大島清次研究目的:近年国際社会における日本のめざましい経済進出が世界の注視を集めていることはいうまでもない。その活力の源泉がどこにあるのか,ということで,特に日本の経済カの強さの由来を知ろうとする研究が活発化しているが,同時に深く日本文化の本質にさかのぼって日本を知ろうとする気運も高まってきている。その時,かつて日本文化が欧米杜会に関心が持たれた時期,つまり日本の開国前後の時期に,たとえば日本(1) 「聖ペテロの否認」の図像学的類型による分類(2) 17世紀オランダでは,この主題はユトレヒトのカラヴァジョ派の周辺でとくに国際交流の援助-70 -
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