は「慧鶴之印ー1」との組合せで使われることがほとんどで,人物•その他の作品にた大応・大燈•関山などの画像。白隠の師である正受老人像や白隠の自画像及び南泉・74オ頃の作とされるNo.77・78は,乞食に身をやつしていた大燈の姿を描くものだが,またこの資料の整理にあたり,印章(通常ー作品に関防印1顆と落款印2顆の計3顆が押印される。まれに3顆以上押印されることもあるが,今回の表では省略した)を分類記載した。白隠は「顧鑑映」「龍徳元天」「闇提窟」(以上関防印),「白隠」「慧鶴」等同文でありながら各々数種から十数種にのぼる異形の印章を用いており,恐らく製作年代や作品の性格によって使い分けている可能性が十分にある。例えば「白隠ー4」多く(一部,達磨・観音にも押印される)一般に戯画風の作風を示している。また「白隠ー10」や「白隠氏」の印のあるものは気格の整った優品が多いのも特徴的である。しかし,これら印章と製作年代との関連性については,なお未解決の問題も少なくなく,今後の検討にまちたいと思う。次に白隠作品を考察するにあたって,ここではその作品群を絵画作品(①達磨,②祖師,③釈迦,④観音,⑤その他の諸尊,⑥神祇関係,⑦福神,⑧印證,⑨人物,⑩その他)と書の作品(⑪一字関,⑫偶頌,⑬法語類,⑭名号・神号,⑮草稿類,⑯書状,⑰その他)とに分類し,以下それぞれについて説明を加えておくことにする。①達磨くNo.1■71〉禅宗の根本祖師達磨の姿を描くもので,斜め左向きの顔に襟から袖にかけ太墨の線を一気にひいた半身像が26点ともっとも多く,そのバリエーションとして横向きの半身像や横向きの全身の坐像で草坐を表すものがある。その他,達磨の様々なエピソードにもとづく`隻履達磨、`葦葉達磨、‘面壁達磨、`片岡山達磨(聖徳太子と達磨の話による)、、等があるが,`葦葉達磨、では葦と沓のみを描き達磨を暗示するもの,‘面壁達磨、では覆頭衣を着て坐禅を組む姿(日本国起上小法師云々の賛)や忍・愚字をもって`一筆達磨、を描くものがある。半身達磨は67オの年記のある正宗寺本(No.・55)を早い例として,最晩年に至るまで引き続き描いている。②祖師くNo.72■106〉達磨以外の祖師(慧能等)や,白隠が深く尊敬を寄せてい普化・巌頭など禅機画の主人公達の像もここに含めた。また祖師というには問題があるが,豊干や寒山拾得もとりあえずこの項に分類した。これらは肖像の形式で描かれたものの他,唐臼を描いて六祖慧能(No.72, 73)を,鋤と松で臨済栽松(No.88) を,払子・経巻・審・虎の足跡で四睡(No.100■102)を表わしたものなどがある。その右手をつき出し,大きな目をむいて立つ斜め向きの全身像は,白隠の気性の激し-84 -
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