鹿島美術研究 年報第4号
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2)研究対象の具体的検討ゴッホの全作品,全書簡のすべてを対象にするか,あるいは対象を限定するかは,この研究の出発点において,未確定の要素として残されていたが,その後の検討により,当面,アルル,サン・レミ,オーヴェール時代を対象とすることとした。言うまでもなく,ゴッホ晩年の最も重要な時期であり,また,他の時期に比べ全体としてかなり連続的に書簡が残されているからである。更に,これ以前の時期に比べ作品自体がよく残されていることもこのような対象の決定に関しても,前述のビックヴァンス氏の著書は極めて貴重なものであり,アルル,サン・レミ,オーヴェールの書簡の日付の推定等,本研究の礎となるものを提供してくれる。書簡に関して具体的なデータの基本とするのは,この新著をも含めて以下の通りである。執筆順の推定)作品に関しての具体的データの基本とするのは,以下の通りである。ただし,作品題名,作品番号等は,文献aを基準とする。これは,できる限り広い範囲での利用を考えて,現在最も普及しているものを基準とすることが望ましいと考えたからである。書簡集に関しては,1990年ゴッホ没後百年を期して新版を刊行する計画があると聞くが,この研究では現行の版を使用することにした。3)コンピューター処理の技術的検討この研究は,通常のカード式による索引化をより迅速かつ正確に行うためパーソナな点である。a) Verzamelde Brieven van Vincent van Gogh, Amsterdam/ Antwerp, new edition, 197 4.(全書簡本文の定本)b) Artemis Karagheusian, Vincent van Gogh's Letters Written in French : Differences between the Printed Versions and the Manuscripts, New York, 1984.(文献aの本文の訂正)c) Ronald Pickvance, Van Gogh in Arles, exhibition catalogue, The Metropoli-tan Museum of Art, New York, 1984. Ronald Pickvance,Van Gogh in Saint-Remy and Auvers, exhibition catalo-gue, The Metropolitan Museum of Art, New York, 1986.(書簡の日付の推定,a) J.-B de la Faille. The Works of Vincent van Gogh, Amsterdam, 1970. b) Jan Hulsker. The Complete Van Gogh, New York, 1980. -93 -

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