はずである。と教育,「マリアの死」の図像型によるR.の死,天に引き上げられるD.の魂等。に集う聖者に代えて芸術家を,更には聖母子に代えて芸術の擬人像を置く。この中には擬似聖者でありかつイタリアとゲルマニアを代表する者として友情を交換するR.とD.という典型的にロマン派と言える例がある。しかしヴァッケンローダーの記述は具体的イメージを定めるものではないから,これを聖画形式で表現するのは美術の独創と言える。のがある。末に登場,1800年代に主題領域として定着,80年代まで大いに行われた。ドイツでは独立したタブロオとしては1830年代にフランス及びその傘下のプリュッセルからの影牌が本格的に入り,その盛期はロマン主義よりもやや遅れた世紀の中葉にある(イタリアもほぼ同様だが,い〈らか遅めのようである一Romanticismostorico)。取り上げられる芸術家は多彩であるが,場面としては一般に,0少年時代の天才ぶり0弟子入り0制作中の芸術家〇貴人との同席,紹介または特に貴人が芸術家に対して敬意を示す(R.の場合は法王ユリウスニ世とレオ十世,D.の場合は皇帝マクシミリアン一世との関係が頻出)0死の床という共通のトポイの他,〇芸術家の生涯中に特に劇的な,あるいは個性を良く示す場面(従って各芸術家により異なる,R.の場合はラ・フォルナリーナとの愛,D.の場合はアントワープでの大歓迎の場面が好まれた)がある。他に歴史的事件に偶々芸術家が居合せるという一般歴史画に入れるべき例,ゆかりのある場所((例えばローマのR.のヴィラ)の再現に芸術家の姿を添えるものがある。時代が多少ずれるせいもあるが,フランス系統では一般にロマン派のR.とD.に対する思い入れや類型対比の表現は見られない。しかし同じ画家伝のー場面でも,リーペンハウゼンのR.伝第2版(1833)中の夢の中へのマドンナの出現場面(1821年のタプロオに基づく。なお第1版では直接の現前,即ち聖ルカ型)は一他の場面はむしろフランス化されたのとは逆に一ヴァッケンロー2-1-1.聖者伝図像の世俗化による芸術家の聖化天使の介在によってR.の''降誕II2-1-2.聖画図像の世俗化による芸術家又は芸術の聖化「聖会話」又は天上の楽園2-1-3.やや特殊な例として,宗教画中の聖者に特定芸術家の肖像的特徴を与えるも2-2.説話的表現フランスでは芸術家を主人公とする歴史画または風格画が18世紀1816年に初版の出たリーペンハウゼン兄弟によるR.伝版画連作等の例が既にあるが,-120-
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