鹿島美術研究 年報第4号
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面に過ぎぬであろう。しかし一方で,12世紀後半に位置付けられる遺品には,こうした伝統的な物語絵の画面構成の型は,もはや見出せない。その間の推移が,絵画化される物語本文の性格の相違に由来するのか,もし〈はより純粋に造形的好みの変化がじたためなのか,今後,様々な視点から詳しい検討を加えてゆきたいと考えている。(17) 日本美術史・建築史用語の「和英辞典」の編纂研究代表者:千葉大学工学部建築科研究生調査研究の目的:日本の伝統美術史・伝統建築史上で用いられている用語約1万項目を収録し,日本語の項目を英文で解説する。日本で初めての,そして世界でも初めての「日本美術史・建築史用語の和英辞典」を編纂する。収録する用語は,飛鳥時代から江戸時代に至る日本美術史建築史上の主要用語で,研究上不可分のものとする。分野は,絵画,彫刻のほか特に海外の研究者には関心の深い伝統建築も含める。なお,個々の作家,作品名は含めない。またイラストを多用して海外の研究者の理解に役立てる。項目の配列は,漢和辞典にみられる部首別とする予定である。索引にはローマ字でアルファベット順に項目を並べる。研究報淳子らが加わり,英文による日本美術史・建築史の総合的な用語辞典として構想されている。1985年4月に鹿島美術財団の助成を受ける前に,基礎作業のひとつである資料収集,カード化の作業を約1万3千項目にわたって完了させていた。前年度の中間報告で述べたように,財団から助成開始後は基礎的準備作業として仕事の組織化,能率化を計ってきたが,本年度中に次のような変化があった。1982年にメリー・ネーバー・ペーレントが着手したこの辞典の編纂は,のち,今西美術史家ペーレント・メリー・ネーバー今西淳子マーガレット・ミラー・金田スーザン・ホルスト・モリPARENT, MARY NEIGHBOUR -148-

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