(26) 第4次元の探求ー現代美術におけるreadtimeの一断面一第2世代とも)のまとまったコレクションは,アメリカ国内には比較的少い。更に,-Whitney Museum of American Art, NY -Storm King Art Center, NY 未完成は文字通り未完成ではなく,徐々に形を全うする過程を示した,意識の上での完成仏であったのである。研究者:大阪大学文学研究課後期課程富井玲子調査研究の目的:現代美術における時間の導入は種々な形でなされてきた。概略的に述べると,時間は,narrative/literary/subjectiveな時間とliteral/objectiveな時間に二分されるといえよう。この研究では後者を取り扱う現代美術の諸分野のうちKineticArtに焦点を当てる。とりわけ,時間問題をその主要テーマをするアメリカのGeorgeRickey及びRickeyと密接な関係にあった第2世代のKineticArtistsの作品を中心に時間がKinetic Artの中でどのように理論的,様式的に問題化されたかを探る。研究報告.. 1.作品調査ビデオ録画を含む作品調査を,リッキー作品を中心として下記で行った。調査期間は昭和61年6月から8月で,アメリカ合衆国東部海岸にその調査区域を限定した。リッキー作品はアメリカ各地の主要美術館に収蔵されているが,この研究で取り扱う1950年代から1960年代にかけての鍵となる作品は今回の調査でおおむね網羅されている。リッキー作品の比較対象となるヨーロッパのキネティック・アート作品(第一次世代,ヨーロッパのキネティック・アートはモーター等の機械部品を使用したものが多く,作品制作後20年以上たった現在では,充分に観照できない保存状態に有ることが懸念された。今回の調査では,AlbrightKnox Art Galleryにおいて,幸いにもいくつかの重要作品を検分することができた。下記の各美術館は本研究に非常に協力的であり,調査対象が,三次元の動く作品であるという特殊事情を考慮して,写真撮影,ビデオ録画については,問題なく許可を得ることができた。調査を行った美術館-191-
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