ら,極めて具体的な発表を行われた。日本側のこうした研究発表に対し,先ず波多野宏之氏がフランスにおける情報処理研究の現状を極めて具体的に概観された。そしてそれらを受け,ユドゥリジエ氏が,画像処理問題についての基本問題について,世界各地での講演経験を踏まえて,長時間にわたる講演を行った。そのなかでは,フランスでの画像処理の実際をヴィデオを使って紹介され,また画像とは何か,という問題について基本問題について深い思索を展開された。翌日の発表では,文献処理における様々な問題が,データ・ベース,等の面から様々に論じられた。シンポジウムで氏は,画像が現実に出版可能なレヴェルになるには,何が必要かという問題について言及された。ここで少し,ユドゥリジエ氏が行っている画像処理を日本の現状と併せて易しく説明してみたい。われわれは,テレビをながめていれば,特殊な映像が日々現れて,これがいわゆるコンピューター・グラフィックの威力かと,日常生活のなかで感じているが,最近は,そうした動〈画像以外に,静止した画像の処理がかなりたやすく利用できるようになっているのである。例えば,美術全集がある。うさぎ小屋の住宅空間のなかに,我々は仕事の必要上,苦労しながら,場合によっては寝る場所も節約しながら,そうしたー・ディスクを使うと,簡単にいえばそうした大全集が,たった一枚のディスクに入ってしまい,それが自宅のテレビのスクリーンですら見られるのである(例・パイオニアからはワシントン・ナショナル・ギャラリーのディスクが出ている)。そして,ページをめくるように,容易に好みのものを呼び出せるし,パソコンと接続すれば様々な検索と操作が可能になるし,寝床も少しは楽になるというものである。また,手持ちの美術研究用の紙焼き写真を,依頼すればディスクに入力することも可能になっているのである。もう一つは,前者の市販のソフトとは違い,研究上のデータを自由に書き込むことが出来るものがある。まずヴィデオ・カメラのようなもので写した美術作品が,すぐにパソコンのスクリーンに,まことに図柄の見事な・高い解像度というか……イメージとして写し出されるようになっているのだ。我々は,また通信衛星から送られてくる地球の画像を,やはりテレビの天気予報などでお目にかかっている。あるいは,最近は病院などで,CTスキャンといって,体を丸太のように,ぶつぎりにした画像にでくわすことがある。これがやはり静止画像である。この技術が,実は美術研究にも応ったものを置かざるを得ない。ところが,最近のいわゆるレーザ206-
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