(2) 古代エジプトの小美術品(ウシェプティ・護符)の年代別分類派遣研究者:エジプト古代美術研究家鈴木まどか調査研究の目的:古代エジプトの古美術品の中で,「ウシェブティ」と呼称されている,木,陶,石製の副葬用小像は,小型で数多く制作されたので,彫像というよりむしろ工芸作品とみなされて,余り重要視されていなかった。その為研究の歴史は浅〈,近年になってオランダのライデン古代美術館のウシェブティについてのカタログ(1977年)が出版されたのみで,欧米の大美術館所蔵の膨大な数に及ぶウシェブティ・コレクションについては全く未出版であるため,その全貌を刊行物によって知ることはほとんど不可能である。わが国の国公立及び私立の美術館にも多数のウシェブティが所蔵されているが,参考文献,資料が不足しているので詳しい年代別分類もなされないままの状態で展示されている。そこで古代エジプト美術研究の中心であるフランスにおいて,参考文献を収集すると同時に,パリ,ルーヴル美術館古代エジプト部門のウシェプティの写真撮影,計測,記録をとり,帰国後は,これらの資料を活用し比較照応することにより,わが国の諸美術館所蔵のものの年代別分類を行い学術出版に役立てることを目的とする。日程:J. -L. de Ceniral氏と打合せ,同館にて事務上の手続き完了。11月4日〜14日,ストラスブール大学図書術にて事務手続と資料収集を開始。11月15日〜11月20日,パリ,コレージュ・ド・フランスのJ.Leclant教授と研究方針について話し合う。シャンポリオン図書館にて参考文献のリスト作成。11月21日〜11月27日,リヨン大学訪問,参考文献の収集。11月28日〜12月5日,パリ,ルーヴル美術館エジプト部にて所蔵品カード及びコンピューターにて開始。12月6日〜12月14日,ストラスブール大学図書館にて文献の復写完了。12月15日〜12月18日,パリ,ルーヴル美術館エジプト部門にて計測,写真撮影。12月19日〜12月28日,ストラスブールにて国立研究センター(CNRS)レージュ・ド・フランスにてJ.Leclant教授と意見のまとめ。研究報ウシェブティの最古の作例は,中王国時代(B.C. 2065■1785)の墳墓から出土した1986年10月30日パリ到着。10月30■11月3日,パリ,ルーヴル美術館エジプト部長のTraunecker氏とウシェプティについて意見交換。12月29日〜12月30日,パリ,コ-223-
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