鹿島美術研究 年報第4号
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(ウ)国際会議出席援助(1) 国際博物館評議会保存科学分科会保存修復教育実務者会議派遣研究者:東京芸術大学美術学部教授杉下龍一郎調査研究の目的:は,今回初めての計画として,保存科学者養成及び保存教育に従事している教育専門家の研究集会を企画した。文化財保存の分野での自然科学の役割は当然重視されるべきものであるが,いまだその方法論は確立しておらず,各国の教育者が個々に模索しているのが現状である。それぞれの当面する問題を持ち寄り,討議のうえ,解決を図ろうとするのが,このシンポジウムの主旨であり,日本での現状を報告するため,この会議に参加することとした。日程:昭和61年10月4日東京を出発,同日夜ロンドン着昭和61年10月6日より10月10日まで連合王国ロンドン市,大英博物館に於いて開催されたICOM-CCのシンポジウム「保存科学者養成に於ける科学の役割」Roleof Science in Conservation Trainingに参加,10月9日「日本に於ける保存科学教育実施に関する諸問題」Problemsin the シンポジウム終了後,10月11日より10月15日までフランスで研究資料を収集シンポジウム(10月6日〜10月10日)の第4日,10月9日に約30分間,英語で口頭発表を行った。その概要を以下に記す。古美術品,考古出土品などいわゆる古文化財の保存修復に当り,自然科学的な方法,化学分析等の調査方法,樹脂処理等の保存処置などといった方法が採用されるようになった今日では,例え,いわゆる理工系でない文化財専門家,わが国では学芸員と呼ぶけれども,こうした人たちであっても多かれ少なかれ,彼等のむしろ不得手としてきた種々の理科的知識,技術を習得しなければならないであろう。これは以前ではあまり予想されなかったことであり,こうした新しい事態への対応はいまだ十分とはいICOM-CC即ちInternationalCouncil of Museums, Committee for Conservation Practice of Training for Conservation Scientists in Japanの演題で講演10月15日パリを出発10月16日東京着-239 -

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