鹿島美術研究 年報第4号
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170件,金額は約一億八千万円に及んでおります。また,内外の名士をお招きして美術講演会長挨拶本日は皆様お寒い中,またお忙しいところ多数ご出席いただきまして,誠に有難うございます。この財団も本年で五年目を迎えましたが,幸い皆様方はじめ関係各位のご協力のお陰で順調に進展して参りました。これまでに財団で援助いたしました実績は件数にして会もすでに三回開催いたしておりますが,多数の美術研究家や愛好家の方々に喜んでいただ〈とともに大変ご好評をいただいております。わが国の美術の振興にいささかでも貢献できたものと喜んでおります。最近,我国でも各地に美術館が出来まして多くの方々が手軽に古今の名作を鑑質する機会に恵まれるようになりましたことは誠に喜ばしいことであります。しかしながら,例えば名画の鑑裳を例にとりましても,ただ名作を見るだけでなく,その作品の生まれた時代の社会や道徳,宗教の背景等を理解し,製作者の意図を知ることにより一層鑑質の楽しみが高まるものと存じております。現在,私達の社会は経済的には非常に恵まれ,豊かになりましたが,ややもすると物質にかたより勝ちであります。このような時に精神的にも豊かな心を涵養することが必要であると思うのであります。本日は60年度に財団で援助申しあげました方々のうちより四名の方にその研究成果の一部をご報告していただ<訳ですが,皆様と共に拝聴できますことを楽しみにしております。この財団の事業が設立目的通り皆様方の研究の一助となり,美術の振興,文化の向上にいささかでも寄与できますよう一層の努力をして参りたいと存じますので,今後共,皆様方のご支援とご協力を切にお願い申しあげまして私のご挨拶といたします。有難うございました。報告会会場風景13 -

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