採択課題研究目的1.橋本コレクションを中心とした中国近・現代画の研究研究者:奈良大学文学部教授古原宏伸研究目的:橋本コレクションの中国絵画800点の内訳は,(l)明清画(300点),(2)長崎派(100点),れた),(2)も61年4月,松濤美術館で特別展が行われた。(3)については,(l)に附属する形で10点内外が出品されたほかは,全く未発表である。り,編年的研究の手がかりとなる。残る200点は,日本にはなじみのない,或いはマイナーな画家の作品である。橋本氏収蔵の明清画(l)は無名の画家のものが多いといわれていたが,近年中国本土の蔵品が明らかになるにつれて,むしろ画壇の中堅作家であることが認識されたが,(3)もそれと同じ構造と考えられる。これほど体系的,網羅的な近現代画のコレクションは,アジアはもとより,世界の公私の収集にも他に類例を見ないのであって,その調査報告は近現代絵画研究の基礎資料として学界に袢益することは疑いない。研究者:九州大学文学部助手小林法子研究目的:本研究の最終的な目的は,近世筑前の絵師たちの実態をあきらかにすることにある。近世筑前の絵師は,お抱え絵師と在野の絵師とに大別できる。前者としては尾形家のほかに衣笠家や上田家,石里家,熊本家などがあり,後者としては,筑前の三大絵師あるいは四大絵師と稲されている齋藤秋圃,村田東圃,桑原鳳井,石丸春牛などが知られている。かれらの履歴や具体的活動を知るためには,基礎的史料としての作品と文献史料の蒐集が不可欠であり,それらの編年的整理が必要なことは,尾形家の場合と同様である。しかし,その現状もまた尾形家の場合と同様,いまだ混沌としている。編年の基礎史料がまとめられることにより,絵師おのおのについてのみならず,絵(3)近現代画(400点)の三つに大別される。このうち(1)は昭和55年4月,大和文華館で,59年4月,東京都渋谷区立松濤美術館の各特別展で公開され(ほぼその全容が紹介さ400点の内容は呉昌碩50点,斉白石30点を始めとして主要作家には複数の作品が備わ2.筑前絵師の研究ー尾形家一-23 -
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