図7マチスaplats 1940年割りを演じていない(11)」のであって,これはヴェントゥーリが,「色彩はもはや構図に従属していないし,線的デッサンにも適合していない。逆に,輪郭線は色彩と共に生まれており,言わば色彩がまさに形態の構築を計っている(12)。」と述ぺている事にも一致する。さて,今度は作品のディテールを観察して見よう(口絵6・図8)。口絵6は,口絵5の左人物の胴体部であるが,ここは絵具の盛り上げが数ミリメートルにも達し,matiereが大変厚〈なっている。よく見ると,下に塗り込められたいくつかの色彩の一部が,その後の絵具層の積み重ねによってできたmatiらreの複雑な凹凸のため,3次元的構造を持って表われており,最上層の色彩にしても,下地の凹凸のためニュアンスに富んだ色調へと転調している。このような絵具層の厚い盛り上げによって,色調が転調し,強度と輝きを増したポジティプなmatiereを,ここではhautep五teと呼んでおく。一方図8は,同じ口絵5の右人物の胴体部であるが,ここではhautepateのmatiereがスクレイパーによって削り取られ,最上層の色彩が,その下に塗り込められていた色彩と共に,2次元的に表われている。このようにスクレイパーでhautepateを削り取り,ネガティプな色彩の均衡を計ったmatiぶeを,ここではscrapingと呼ぶ事にする。またhautepateの中で,絵具層の極端な凹凸のため,最上層の筆触が断続的にカス図8Passion 12 -scraping・ -72 -
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