Johann Elias Ridinger)のハンティングシリーズのうちの一図であり,もう一図は,また,杉浦氏旧蔵銅版画のうちー図だけ彩色がなく,寸法もきわだって小さな作品が含まれているのだが,その一図は『VADERLANDSCHE HISTORIE』というJ.ワーヘナール(J.Wagenaar)の編になる『ネーデルランドの歴史書』全21巻のうち,年に平和条約が結ばれた)の景であることがわかった。(図24• 25) 以上20枚のうち7枚の銅版画が,書物に所載されていた風景版画であることがわかった。そして,残り13枚のうち11枚は,イギリス・ロンドンで出版された風景銅版画であった。これらは一枚ものの版画である。筆者は,裏面に貼りつけられた英文のタイトル,ならびに出版元の名前,年代を読解し得たが,図柄は以下のとおりである。*ロンドンとウエストミンスター(イギリス風景1752年刊)*セント・ブライズの教区教会(イギリス風景1753年刊)*オックスフォード市(イギリス風景)*日の出(イギリス帆船1751年刊)*フォンデーヌブロウ宮の運河の景(フランス風景)*ヴェルサイユ宮殿の庭園(フランス風景)*庭園の隠者の住居(フランス風景1753年刊)(図7)*ローマ・セントピーター教会(イタリア風景1751年刊)*ヴェネツィア・小サンマルコ広場(イタリア風景)*ナポリの眺望(イタリア風景)(図5)*セントヘレナ島(図3)以上,イギリス製銅版画11枚が共通した様式をもつものである。残りの2枚は,全く異質のもので,高名なドイツの銅版画家ヨハン・エリアス・リーディンガー(1698■1767リアの一都市プレスビュルグの景かと推定される。このように18世紀中〜後期以降に京都にあったと思われる銅版画の実体が明らかに23) 16巻めの書中に付されていた挿図で「ライスワイクのファン・ニーウブルク宮」(1697「POSONIUMBreBbtirg」と図中のタイトルにある城郭図である。後者は,オースト-106-
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