高1尺5寸以上3尺迄の花瓶,径1尺以上3尺迄の皿,径1尺5寸以上2尺5寸位内容をもっており,一点しか現存しない貝助の作品を補うことのできるものである。2.貝助の作品目録以下吉岡芳陵伝によって貝助の作品を見よう。①処女作・茶合,盃,香炉茶合と盃は林庄五郎から学んで初めて予期の好成績を得たもので,記念に近村の寺院に奉納したという。香炉は共蓋付,径3寸高3寸鉄の四方形香炉で,胴の全面に菊の唐草を出し,総地は青色,製作は拙劣だが,梶常吉,林庄五郎等の作より良く,尾張七宝中興の創製品だという。のち,明治14年第2回内国勧業博覧会に参考品として出品,上野の帝国博物館に入ったとされる。②六稜形菓子鉢上記作品のあと取り組まれた宿望の大作で、径6寸5分深さ1寸の六稜形菓子鉢,文久元年12月の作。内部中央の紋様には菊の唐草,周囲の縁模様には雑紋を填め,黒,白,赤,黄,紫,紺,青,樺,鼠,茶の10種で着色し,総地は青色である。③名古屋城写しの丸皿径1尺6分,名古屋城を写し,余地には雲形の地紋を施し,総地は青色,縁模様に各種の雑紋を填めた。④唐草紋花瓶高1尺径5寸,唐草紋花瓶3個。⑤丸形蓋物径4寸5分の蓋物3個。⑥陶胎七宝盃,煎茶具,蓋物,高6,7寸迄の花瓶。慶応元年2月から同2年末までの制作。花瓶の内面には普通陶器のように釉薬を施し,表面は小縁を一段高く残して,全体を素地のままとし,これによって線及び琺瑯の熔着が完全に保たれたという。⑦その他明治4年10月迄の作品迄の蹴司,その他香炉,香函,蓋物,煎茶具,鉢類,高5尺7寸の燈籠など。画紋は獅子,龍,鳳凰,錦鶏,その他花鳥,草木,人物など。⑧ワグネル考案の琺瑯技術による花瓶等。-140-
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