しんばじんめ(27) 写真保存技術の調査研究の世の表現となっている。むすび以上,中途乍ら概括すると,肖像は寿像,追善供養の像を問わず,記念的,或は敬愛の対象とされるものである。鳥獣特に馬は神馬的要素があり,神馬として絵馬に描かれ,単独でも扱われやすい。身分の象徴でもある故,武将には当然騎馬像も求められる。鷹も絵鷹があるように,神馬の祥瑞思想の影聾と思われるが,白應は神聖視される。最高の遊技放鷹には名鷹が求められ,鷹の技値は讃えられる。是亦ステイタスシンボルとなり,単独で,また像主の側に描かれて,その結果,像主の趣好をも解説する。なき像主の特定は,殊に作為,特に賛が故意に切除されると一層困難となる。服装,調度等傍証し得るものをこと細かに探求する他に方法はない。作られた結果の通説の否定はなし得ても,その作為の後に像主を指示特定することは非常にむつかしい。已は確実な普通単独の人物像中よりも,その特定する方法を見出して,諸例を蒐集して検討,参考にする事が必要である。この事は調査途中より,判然自覚した。迂遠のようでも確かな方法である。調査未了のものに,伝信玄像の他に,黒田長政騎馬像,その他人物像のみのものでは,稲葉ー鉄,渡辺勘兵衛,沢村大学,桃井直澄,喜多六平太,朝倉敏景,益田兼斃等々数多くある。再度助成継続を申請し,確定的な結論を得たいと考えている。研究者:京都国立近代美術館研究員河本信治研究報告1839年に発明された写真という媒体は,事件や時代の証言として優れた記録メディアであったと同時に,作家や写真家の感性と世界や時代に対する認識をわれわれに伝える独自の表現メディアでもあることは言うまでもない。写真もまた,美術,文学などと同様に各時代の文化活動の所産であると言える。欧米においては,写真の持つ文化・芸術史的価値は早くから認められ,すでに1930年代から公立図書館,美術館を中心に写真の収集と保存,研究活動が続けられている。この方面でのわが国の状況は明らかに立ち後れたものであった。しかし長年その必要性が叫ばれてきた公立美術館,-162-
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