1988年2月22日ー2月27日1988年2月29日ー3月5日*シカゴ美術館はアメリカで最も整った写真管理と修復設備を持ち,活発な写真の展示・研究活動を続けていることで知られている。ここでは,現場で実際の写真作品に触れながら,写真の扱い,保存・管理に使用する材料,技術上の注意事項について細かな指導を受けた。また写真作品の収蔵,展示における気温,湿度,照明などの記録と,経験に基づく貴重なアドバイスを受けることができた。アリゾナ大学付属センター・オブ・クリエイティブ・フォトグラフィー:ジェームス・ェニィアット(ディレクタ*このセンターは,アンセル・アダムス,ュージン・スミスなど写真史上重要な写真家を数人選び,彼らの完全な作品記録と,関連ドキュメント,資料を収集し,それらを有機的に整理・組織化した情報・作品センターを目指している。5万件以上の作品・資料を,多用な目的での検索と利用に対応できるように組織する当センターの方法論と哲学は示唆に富むものであった。特に膨大な数の作品と資料を整理,組織化する手順とリファレンス・システムはきわめて印象的なものであり,また教育課程の一環として大学院生をセンターの活動に積極的に活用する運営は,美術館学と図書館学の融合された教育実践として注目すべきであった。プリンストン大学付属美術館..ピーター・ヴァナル教授(主任教授)*プリンストン大学付属美術館は目下改修工事中であり,これに合わせ写真作品専用の収蔵庫とサービス設備の工事が行われていた。この収蔵庫と周辺設備は,シカゴ美術館での試行錯誤の経験を基に,より改良されたシステムが取り入れられていた。ヴアナル教授は,写真を他のメディアと孤立したものではなく有機的に関連したものとしてとらえ,大学での美術史教育の一環として写真作品を活用している。他の大多数の機関や美術館が,写真を独立した表現メディアとして確立することに勢力を傾けている中にあって,プリンストン大学のアプローチは異色のものであった。しかしこのアプローチは写真を文化生産の一つと考えればきわめて説得力に富むものであり,京都国立近代美術館での今後の写真の展示,研究活動に大きな示唆を与えるものであった。プリンストン大学からは写真作品専用に設計された収蔵庫と関連設備の設計図面-164_
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