鹿島美術研究 年報第5号
263/290

Borso d'Este. Adolfo V enturi,1937の閲覧。さらに中世〜15世紀パドヴァ写本に関しPapafava, Dipartimento di Storia delle Arte visiva e della Musicaにて写真資料をPadovana, a cura di G. Folena e G. L. Mellini. 1962)を得た。記したい。調査を行った諸機関及び主な収集文献こ;パリ大学ドゥーセ図書館…H.W. van Os. 1969他風景表現に関する資料多数をコピー。ヴェネツィア;ジオルジオ・チーニ財団(FondazioneGiorgio Cini)図書館,写真資料室及び,コルレル美術館写真記録保管所(Archiviofotograficodel museo Correr) にて写真資料の収集…1450年前後のパドヴァ,フェルラーラ,ヴェネツィア絵画交流状況に関する文献;M.Salmi (1959年他)特に写本挿絵領域では多くの資料ならびに新知見を得た。主にM.Salmi (1961年他)によるフェルラーラ写本文献,Bibbiadi て,GiordanaMariani Canovaによる有益な資料(1967,1969, 1982他)を収集。その他フィレンツェ及びロンバルディア写本に関する文献の収集,コピー。パドヴァ.,パドヴァ大学美術史研究所図書館(Istitutodi storia dell'Arte)で文献調査,市立美術館写真資料室(MuseoCivico, Cabinetto Fotografico)及びPalazzo収集した。主にヤーコポ・ベルリーニ,マンテーニャに関する基本的重要文献ならびに北イタリア写本関連文献(同じくG.M. Canova著をはじめ,Bibbiaistoriata III)調査の成果(現役段階での成果の概略)以上の各美術館,聖堂での作品調査および写真資料室での膨大なファイルの調査を試みたが,短期の滞在という制約もあって,当初期待したような,先に挙げた3つの問題作品への移行過程を示す興味深い作例,あるいは風景の内容に関して,伝統的岩山光景からジョヴァンニ・ベルリーニの田園風景への移行を示す過渡的作例は新たに発見することが出来なかった。従って板絵ないしフレスコ画に関する限りでは,既に進めていた研究枠を越える新知見をもたらすものではなかったか,この事実は逆に,現地での一望を果すことにより,未確認であった各地方工房の状況を確認させてくれる事となった。すなわち,1440年〜50年頃の北イタリア作品においては,ヴェローナ『悲しみの人』,ャーコポ作『荒野のヒエロニムス』等の表現を除けば,国際ゴシックの金地からマンテーニャ,ジョヴァンニ・ベルリーニ等の三次元的青空表現への移行は突如として飛躍的に達成されており,従って何らかの外因的要素(従って先行する-239-

元のページ  ../index.html#263

このブックを見る