(2) 第8回国際保存学会ICOM会議(シドニー)第8回国際博物館会議・保存学会は,オーストラリアのシドニー市に於いて,昭和62年9月7日から9月11日までの5日間にわたって開催された。会場はヒルトンホテ1,美術品の科学的調査(19)/ 2,キャンヴァス絵画の構造的修復(8)/ 3,民族12,美術品の運送,取扱い(6)/13, 自然博物品(0)/14,文書,紙本画及び写真類うか。恵まれた者が恵まれない者を援けるのが当然であると考えるように日本人がなるならば,外国からの日本批判と消えてゆくであろう。マザッチョの作品が,単に量感を見事に表現したことの故に賞讃されるのではなく,人間の本当の尊さを描き上げた点において日本で評価されるようになるのはいつの日であろうか。多くのことを考えた旅であった。一日本の油彩画上に発生する結晶の問題一派遣研究者:朦絵画保存研究所所長海外における研究活動状況ルで,8階の大小7室が研究発表用として準備され,英仏語の通訳室とスライド上映コーナーが,各室に仮設されていた。9階は主としてポスターセッションにあてられていたが,時々ビデオによる研究発表も行われた。参加者は,28ヶ国より総数393名あったが,大会開催地のオーストラリア及びその周辺の国々からが圧倒的に多く,過半数を占めていた。欧米からの出席者は,遠隔地のためか,これまでの大会に比して,少ない人数であった。日本からの出席者は,過去最高で12名が参加し,この内,研究発表者は7名を数えた。来年度の日本におけるIIC会議に向けて,他国に劣らぬ準備を行うため,できるだけ多くの情報を得る事を目的として,参加した人もあった。参加者の所属は,学芸員,修復技術者,保存科学者,考古学者以外に,ェンジニアや行政官,都市計画者など多様にわたった。今大会の研究発表のメインテーマは特になかったが,1984年から1987年に研究されたものに,限定されていた。発表は,次に記す26の分科会に分かれて行われた。資料(9)/ 4,記録資料(5)/ 5,彩色彫刻(0)/ 6,現代美術(4)/ 7,浸水考古品(5)/ 8,標準物質(0)/ 9,織物(19)/10,石材(14)/11,修復の歴史と理論(12)/ 小谷野-251-
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