鹿島美術研究 年報第5号
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( )内は報文の数を示す。報文は,1222ページ(3冊)のプレプリントにされ,前もって出席者に配布された。大会の開会式は,9月7日の午前9.30からヒルトンホテルの大広間で,オーストラリア政府高官の数人を来賓として迎え,ICOMの役員が勢揃いして行われた。今大会の組織委員長であるクリスチャン・ラーニエ氏(ループル美術館保存科学部長)の開会挨拶で始まり,来賓祝辞,招待講演がそれに続いた。午後からは,前述したセッションの分科会に移り,研究発表及び質疑応答が行われた。筆者の属す第一グループの研究発表は,翌日の9月8日に行われた。まずはじめに,コーオーディネーターとしてのラーニエ氏がスピーチを行った。このグループのかかげるテーマ「美術品の科学的調査」は,すべての美術品に関わるものであること,日進月歩の速さで進歩する科学をすみやかに美術研究に採り入れて素材の研究と知識の拡大に努め,美術品保存に役立てる方針を貫きたいという旨であった。彼は次に,今回提出された各研究論文は,下記の5ツの大きな流れに分けられると報告した。1).絵画技法の解明及び絵画の劣化分類2).顔料の産地分析と板材の年代測定3).有機顔料の調査研究4).調査に応用される新しい方法5).分析に応用される新しい方法これら各項に属す代表的論文は次に示す通りである。1).絵画技法の解明及び絵画の劣化分類初期ネーデルランド絵画技法ピエロ・デラ・フランチェスカの「聖なる会話」とフランドル絵画技法との関連• D. W olfthal ; USA • L C. Alexander,他;ベルギー• S. Bergcon,他;フランス(16) /15,壁画とモザイク(6)/16,樹脂(9)/17,照明・環境(16)/18,皮革品(2)/19,硬質支持体絵画(3)/20,ガラス・陶磁器(8)/21,修復者のトレーニング(5)/22,金工品(8)/23,イコン(6)/24,岩(3)/25,生物劣化(9)/26,家具(5)。-252-

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