2.「美術研究と情報処理」3.「江岸別意・中国明代前中期の絵画」4.マクドナルド著「美術教育の歴史と哲学」出版目的この研究発表を刊行することへの,期待が各方面からよせられており,報告書も充実した内容の原稿が,ほぼ400■450枚(400字)ほど集まり,また画像処理において,最も進んだ研究を進めておられる,早川氏(大和文華館)の論文には,色彩図版8点が用意されており,その驚くべき精度の画像研究をよく理解できるのである。美術館,博物館を初め,個人を含め,現代で最も,関心の高い問題への,具体的な一つの答えとして,刊行の意義は大きいと言わざるを得ない。出版目的本書は全5巻を以て完結を意図して企画された中国近世絵画史(各巻を独立した単行本として読むことができる)の第2巻である。中国の元明清の絵画は,日本にもすぐれた作品が多く,また日本の近世絵画にも大きな影響を与えたが,この分野の歴史・断代史の両方の性格をもつ本書のような書物はこれまでなく,広く期待されて来た。原著者J.ケーヒル教授は,米国における斯界の第一人者であり,つとに中国絵画にみられる“奇想”や“幻想”の概念を発表し,その波紋は日本にも及んだ。他方,影城百川ら日本の絵画の研究にも卓抜な論を発表し,日本の美術史学界とも深い関係にある。なお,本書は,欧米における中国絵画史研究の総括的紹介の意義も少くない。出版目的これまでのわが国における美術教育の研究は,主としてその実践的部分にもっぱら重きが置かれてきたために,その歴史的ないしは思想的研究は一般に遅れた状況にあったといえる。このような状況にあって,「美術」の原義に即し,各時代の美術理論と教育理論を十分に吟味し,それらが,美術教育の方法,制度,内容にどのように影卿を及ぼしたか日・仏美術学会幹事日本大学芸術学部助教授木村三郎跡見学園女子大学文学部教授新藤武弘神戸大学教育学部助教授中山修一-261-
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