鹿島美術研究 年報第5号
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(2) 第4回研究報告会報告概要2.京都洋画壇におけるフランスアカデミズムの移入と展開1.室町時代絵画史研究のための漢字テキスト処理ー絵画モチーフ解釈の手段として一(共同研究)東京国立博物館資料部研究員高見沢明雄東京国立文化財研究所II島尾高見沢明雄・島尾新の両名は昭和61年度から「室町時代山水画モチーフの文学的背景と自立過程」という課題で研究を行ってきた。本研究所の趣旨は,室町時代水墨山水図の展開において,絵画モチーフが背景としてもつ文学的意味から次第に離れ,形態自体として独立してゆく過程を,資料をもとに具体的に跡づけることであった。ここではその研究過程で作成した「道具(ツール)」として,コンピューターを利用した漢字テキスト処理について報告する。大量の資料を迅速に遺漏なく処理し定量的な把握を可能とするコンピューター利用の利点と,「意味」の欠如に起因する欠点,コンピューター利用の副次的効果としての研究方法自体の見直し等を概観したのちに,データとしての漢詩文・漢字テキストの特性とデータの構造化の問題をとりあげる。さらに処理の具体的手法と例を,既存アプリケーションプログラムの組合せによる方法とリスト処理言語による方法とをあわせて報告する。ー鹿子木孟郎を中心として一(共同研究)京都国立近代美術館主任研究官島田康寛1.鹿子木孟郎の略歴正太郎に学び,一時中学教員を勤めたのちアメリカ経由で渡仏,官学派のシャン・ポール・ローランスに師事した。1904年に帰国後は京都に住み浅井忠とともに関西研究鹿子木(1874■1941)は岡山に生まれ,松原三五郎,小山加藤類子-17 -新II

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