(1).美術に関する調査研究2.マネの絵画と19世紀の写真比較研究採択課題研究目的の概要1.江戸初期の肥前磁器の文様研究者:佐賀県立九州陶磁文化館資料係長大橋康—研究目的:豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に連れ帰られた朝鮮の陶工は佐賀県有田辺で日本で最初の磁器焼成に成功したといわれる。その後肥前の陶業は急速に成長する。当時のわが国では,磁器はほとんどが中国からの輸入で新興肥前磁器は中国磁器を手本として作られたらしい。1640年代の明末・清初の動乱によって中国磁器の輸入が止まり,その替りに肥前磁器が国内市場を席捲した。このように急成長を遂げた肥前磁器の意匠については中国磁器の影響が強いことが指摘されている。しかし,それは主に伝世品によるもので,多彩な肥前磁器の意匠を徹底的に研究した結果とは言い難い。この20年来,窯跡の発掘調査が行われ膨大な出土品が採集されているが,報告されているものはごく一部である。これらの整理分析が進めば,17世紀前半における肥前磁器の文様が明らかになる。それにより李朝,中国磁器との影響,他の美術工芸との関わり,当時の流行した文様など明らかになり,貴重な資料となろう。研究者:パリ第4大学博士課程在学三浦研究目的.. エドゥアール・マネ(1832-83)は,世代から言えば,その芸術の形成・確立期に写真の実用化と流行(1893年以降)という現象に直面せざるを得なかった画家の一人である。自己の肖像を多くの写真家に撮らせ,特にナダールと親しく交際していたマネは,肖像画制作の補助手段として写真を使用しており,また実際自ら写真を撮影したとも伝えられている。新たに出現した視覚再現手段に画家が興味を抱いていたことは疑い得ない。その意味からマネの作品を当時の写真及び写真術の影響という観点から考際することはこの画家を理解するための有効かつ必要不可欠な問題設定と思われる。この問題は不当に軽視され,A.シャーフ「芸術と写真」とB.ファーエル「マネと裸体画」を除-25 -篤
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