18.幕末・明治期日本渡来画家の研究質のものである。17. 12世紀における仏教彫刻の基礎的研究研究者:彦根城博物館学芸員斉藤研究目的:12世紀は11世紀中葉に定朝によって完成された様式が広く受容され,多くの作品が生みだされる一方で,この世紀の末に華々しく登場する運慶・快慶等の新様式が準備され,完成された時期でもあると見られている。鎌倉彫刻につらなる作例は,これまでもよく取り上げられ,研究されてきたが,定朝様を受けついだ大多数の仏師の作例は,定朝と鎌倉初期の巨匠たちとのはざまにあって,定朝の作風をその枠内で消極的に展開したにすぎないと見られがちである。しかし,これらの彫刻は,けっして定朝亜流とばかりかたづけられない。定朝のめざした円満具足とはやや趣を異にする独自の主張があるように見受けられる。また,12世紀は,中央の様式が急速に地方へ伝播し中央と地方との差が縮り,地方に本格的な作例が残される時期でもある。「藤末鎌初」の言葉でひとくくりされがちな,この時期の彫刻は,もう一度きめ細くたどってみる必要があると考えられる。研究者:神奈川県立博物館専門学芸員横田洋研究目的:日本近代美術史の研究で取り上げられるのはチャールズ・ワーグマンやジョルジュ・ビゴー,工部美術学校関係のイタリア人の画家たちである。そのほかの幕末・明治期に来日した画家たちの事蹟についてはほとんど研究されていない。しかも上記の画家についても全貌は解明されておらず,近年ビゴーのみが本国フランスでの作品の所在調査も進み,大規模の展覧会が開催されるなどその業績についての研究が運んでいる。ワーグマンについても,日本滞在中の事柄については研究されているが,彼の経歴,本格的な作品の所在調査はこれからのことである。ここで研究調査する画家のすべてが日本の近代美術の動向に深く関係していたわけではないが,これ等の画家たちを研究し,その底辺を拡大することによって,美術の領域を越えた文化史的な面での意義も期待出来る。特に彼等の残した作品は写生画であり,当時の日本の風俗・習慣を忠-35 -望
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