正確な基準作例の収集。従来の銘文資料の再点検によって,判読や条釈についてコメントを加える。ー,資料増加に伴う記録の集積。各地の調査であらたな在銘像資料が発見されている。これらの収集記録が必要であり,これに準在銘像を加え,失われた在銘像文記録も収集する。三,作例の様態に関する分類。在銘作品を基準作としての設定する場合,例えば正系中枢仏師作品,都的作品,地方的作品,土着的な作品などの類別があり,在銘像の一律的な応用はかえって混乱を招く。そのため,資料の性格や様態の類別を試みる。四,写真資料等の研究者への提供準備。研究対象との比較のために,参考資料や写真等を入手する事が困難なことが多い。そのための研究者への提供も課題。美術史研究において,様式史における基準作例の設定は不可欠であり,そのための作例について,まず,より正確な資料が豊富に得られることが必要であります。次に,この在銘像記録の収集とデーターベース化によって,九州の美術史の根幹をなす仏像彫刻史の再編の基本資料を作成し,新たな研究課題の発見と密度の濃い研究を目的としています。収集の写真と銘文その他は,出版の準備でもありますが,銘文等の内容の検索を容易にするため,あるいは比較や資料提示のためにデーターベース化を進めます。在銘像のデーターベース化は,九州の後進の研究者に大きな指針を与えることになると思いますし,全国的な在銘像収集に寄与することになることを望んでいます。26.中国仏教石窟彫刻の研究ー写真資料の収集と整理及び日本国内の作品調査一研究者:奈良国立博物館美術室技官岡田研究目的:日本の仏教彫刻は,外来文化の一つとして中国大陸からの影響を受けると同時に,わが国固有の文化的土壌のもとで,本家の中国から見れば一種の地域性を発揮しながら展開した。本人の中国仏教彫刻様式史研究は,中国彫刻の様式上の特性を解明することによって,日本彫刻の中の日本的なるものを浮かび上がらせ理解することを最終健-40 -
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