20.新発見資料「エミール・ベルナールの画帖」研究いものが随所に認められるが,アッシジ後半場面と聖ニコラ礼拝堂壁画に見出せる文字はジオット工房のものではない。このことは,これらの壁画がジオットの様式をある程度受け容れてはいるものの,完全にジオットの指揮下にはなかったことを示していると思われるのである。研究者:沖縄県立芸術大学講師浅野春男研究報告:フランスのカンペール美術館(フィニステール県)が近年所蔵するところとなったエミール・ベルナールの未刊のノート「エミール・ベルナールによる淡彩画と芸術に関する考察を含むノート」(所蔵番号79.7. 1)について,その全体を概略ここに紹介したい。くノートについて>およそB5サイズの学生向きノート。表紙には,幾何学的な文様で飾られた帯状の装飾がノートの周囲を長方形にふちどり,その帯状の左辺と右辺にはそれぞれ同形の枠があり,そのなかには沼に生える睡蓮とトンボが左右とも同じ図柄で描かれている。表紙上部には,スタンプで押されたOf.45の数字が逆さに見える。また,(おそらくペルナール自身の手になると思われる)1891-1892-93-94-95-96の数字が記されている。表紙の中央には次のように印刷されている。(挿図1)-137-図7
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